“ケータイ小説”や“プロフ”など、昔から若年層はモバイル関連のネットサービスの中で独自のカルチャーをけん引する存在だったといえる。そんな若年層の生の声をお伝えすべく、ITmediaでは若者のガジェット事情について意見交換をするためのグループ「アンテナ喫茶」を結成した。「いろいろなものにアンテナを張って、お茶をしながらざっくばらんに語り合う」のが主な活動内容。アンテナ喫茶のメンバーには定期的に集まってもらい、イマドキの“スマホ事情“について取材をしていく予定だ。
今回は、都内私立高校の女子高生中村朱里さんと中谷里奈さん(品川女子学院高等部2年生)、現役女子大生の庭野李奈さん(立教大学3年生)と百武凛那さん(成蹊大学2年生)、社会人1年目の丹下恵里さんと古川愛さん(リクルートホールディングス)の6人に話を聞いた。第1回では「家族とLINE」をテーマに紹介したい。
LINEも若年女性を中心に幅広い世代に支持されているが、彼女たちはLINEをどう使っているのだろうか。1988年生まれの筆者は彼女たちとあまり年齢差がないはずなのだが、その使い方を聞いて驚くことも多かった。ITmedia Mobile読者の中には、10代後半〜20代前半の娘さんがいる人もいるだろう。そんな世のお父さんたちが涙なくして聞くことができない(?)ようなこともざっくばらんに語ってもらった。今回のテーマは「家族とLINE」だ。
女子高生や女子大生のスマホ事情については、以下の記事も参考にしてほしい。
- →「スマホの9割はiPhone」「有料スタンプは買わない」——女子高生起業家に聞くスマホ事情
- →現役女子大生に聞くスマホ事情(1):「本当はタブレット+ガラケーがいい」「買う機種を自分で選びたくない」——女子大生がスマホに思うこと
- →現役女子大生に聞くスマホ事情(2):「LINEで未読100件は当たり前」「本当はmixiに戻りたい」——女子大生とSNSの距離感
- →スマホを買ったら入れておきたいアプリ10選——高校生編
- →あなたのホーム画面、見せてください!——高校生編
「家族でLINEは当たり前」「お父さん抜きのグループもある」
集まってもらった6人全員が最も利用頻度の高いアプリとして満場一致したのが、無料通話・メッセージアプリ「LINE」だ。起床後、LINEの未読メッセージをチェックすることから彼女たちの1日はスタートするという。通勤・通学中や休み時間、退勤後や放課後、就寝前など、彼女たちは絶えず「呼吸をするように」(中村さん)LINEを使う。
LINEを始めたきっかけは、人によってさまざま。周りが徐々に使い始めて自然に利用し始めた人もいれば、「Wi-Fi接続だけで利用できることもあり、遠距離恋愛していた彼氏に勧められました」(庭野さん)という意見や、「連絡手段として便利だからという理由で、お父さんにインストールされました」(中谷さん)という女子高生ならではの意見もあった。
コミュニケーションを取る相手のほとんどは友だちや恋人かと思いきや、意外にも6人中5人は家族と頻繁にLINEでやり取りしていた。LINEは複数のメンバーでメッセージのやり取りができる「グループ」機能を備えるが、「家族全員が参加するグループがあります」(中村さん)という意見には、ほか全員が同意。
その事実に筆者が素直に驚きの感想を述べると、「LINE以外で、どうやって家族と連絡を取るんですか?」(中谷さん)と素朴な疑問をぶつけられてしまった。筆者は家族とのやり取りにキャリアメールを利用しているが、裏を返すとキャリアメールを使う相手は家族だけになってしまった。女子高生2人を始め、6人全員がほとんどキャリアメールを使わないということだったので、その代替的な役割をLINEが担っているのだろう。
また、グループについては家族間で複数存在するという気になる話も。どういうことかと尋ねると、「お父さん抜きのグループがあるんです」(庭野さん)という回答。お父さんが聞くとショックを受けてしまいそうな話だが、なぜ家族で複数のグループを作るのだろう?
「お父さんはその事実を知りません。グループの名前は、お父さんに見られても分からないようにしています。会話の内容は『今日お父さんいないの? やったぁ』というものや、お母さんが上機嫌で『今日何を食べに行こうか?』などです(笑)」(中谷さん)。6人全員ではないものの、世のお父さんにとっては悲しい会話が繰り広げられていた。
そのほか、家族とどういったやり取りをしているのかを聞いてみた。お姉さんと二人暮らしの中谷さんは「おはよう」や「おやすみ」といったあいさつを始め、両親とは毎日のように連絡を取り合っている。中村さんも帰宅が遅くなるときにはLINEでお母さんに一報を入れるという。仲のいい友だちとは意味のないやり取りもできると話す彼女たちだが、家族に対してはあくまで連絡ツールとしてLINEを利用しているようだ。
また、おばあちゃんっ子の庭野さんと中谷さんは、おばあちゃんともLINEをする。なかでも「新しいモノ好き」だという中谷さんのおばあちゃんは若者顔負けの“スマホ使い”。「おばあちゃんは78歳なんですけど、デコメも送るし、FacebookとLINEを使います。でも同年代でスマホを使う友だちがいないので、私や姉の友だちにメッセージを送っているんです。シニア向けではない普通のスマートフォンを使っていて、『今日サンマ食べた』とか、LINEのタイムラインに投稿してます」(中谷さん)。
一方で、「お母さんが最近LINEの使い方を覚えました」(丹下さん)や「おばあちゃんは携帯電話を使えないです」(古川さん)という意見もあった。後者がいわゆる一般的なシニア層の実態に近いだろう。
今回は、家族とLINEをどう使っているかについて話を聞いた。どの家庭でも両親ともにスタンプはカジュアルに使う傾向にあることも分かった。LINEはもう若年層だけのツールではないようだ。次回は彼女たちが学校や職場の友人、知人とLINEでどのようなやり取りをしているのかを紹介したい。
関連記事
- 現役女子大生に聞くスマホ事情(1):「本当はタブレット+ガラケーがいい」「買う機種を自分で選びたくない」——女子大生がスマホに思うこと
スマートフォンほど、性別や環境によって使い方が異なるデバイスはないかもしれない。若者のスマホ事情を探るべく、女子大生にインタビューしてみた。取材にご協力いただいたのは“ミラクル☆ガールズ”の4人。今回は「端末」に焦点を当てた。 - 現役女子大生に聞くスマホ事情(2):「LINEで未読100件は当たり前」「本当はmixiに戻りたい」——女子大生とSNSの距離感
女子大生といえば、LINEやSNSは切っても切り離せないツールになっていると思うが、彼女たちはどのように活用しているのだろうか。そしてキャリアメールは……? - 「スマホの9割はiPhone」「有料スタンプは買わない」——女子高生起業家に聞くスマホ事情
LINEは当たり前、キャリアメールを使ったことがない人もいる。スマホは9割がiPhone。ケースは3カ月に1回交換する——。現役女子高生にして社長でもある椎木里佳さんを取材したところ、彼女たちならではの興味深い事情が見えてきた。
関連リンク
Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.