やはりメインディッシュは「Windows Phone」か
これまでは比較的緩やかな歩みだったWindows Phoneの世界が、ここにきて一気に動きそうな気配を見せている(参考記事)。
米Microsoftが4月2日(現地時間)に開催する「Build 2014」。この開発者カンファレンスでは、次期Windowsとして来年2015年春にも発売されるといわれる「Windows 9(開発コード名:Threshold)」のプレビューが行われるという話もあるが、やはり中心となるのはアップデート時期の近づく「Windows Phone 8.1」ならびに、差し迫った問題としての「タブレット市場攻略に向けた新施策」といった部分になると考えられる。日本時間では4月3日の深夜0時30分に基調講演が始まる予定だ。
Windows Phoneが話の中心になると考えているのはいくつか理由がある。まず、内部的に携帯電話関連に関するメッセージがMicrosoftから強く出始めていること、そして先日報道関係者に送付されたNokiaからのプレスカンファレンス招待状だ。NokiaはBuildの開催初日となる4月2日に、Buildが会場としているサンフランシスコ中心部において“Microsoftとは別に”発表会を開催する。
ここではスマートフォン「Lumia」の新製品がいくつか発表されると同社では予告しており、ウワサによれば、それは次期フラッグシップの「Lumia 930」ならびに、普及価格帯モデルの「Lumia 630」になるとされている。
現在、まだMicrosoftによるNokiaの携帯部門買収は完了しておらず、4月にずれ込むとの報告が米Microsoftのブラッド・スミス氏より行われている。そのため、Buildのタイミングで大々的に発表できればベストかもしれないが、もう少しだけ遅れる可能性も考えられる。
MicrosoftとNokiaが別々の形態のカンファレンスを同じ場所で開催することに特別な意味はないのかもしれないが、両社が重要なアナウンスを同時に行えない微妙な理由がある可能性もある。
一方で、Nokiaがフラッグシップ製品の発表をBuildに合わせてきたという点で、Buildを目当てにサンフランシスコへとやってきた報道陣に公開したいという狙いがあるのは明らかだ。つまり会社はまだ別々であっても、Microsoftからの「携帯電話戦略に関する大きな発表があるよ」という隠れたメッセージを内包しているのかもしれない。
実際にBuild 2014で発表される携帯電話関連の話題は次がポイントだと考えられる。
- Windows Phone 8.1の正式プレビューならびに一般β配布開始
- 新パートナーや販売施策に関するアップデート
- Windows Storeとの連携とWindows 8/8.1/RTとのすみ分け
Windows Phone 8.1(開発コード名「Blue」)については、2月末にバルセロナで開催されたMobile World Congress(MWC)で簡単な機能プレビューが行われており、ハードウェア要件の緩和やデュアルSIMサポート、VPN対応等が紹介されている。
また、MWCでの発表会に際しては「Windows Phone 8.1」の名称は使われておらず、あくまで「次期アップデート」と述べるにとどまっており、実は別の名称で登場するかもしれない。その場合、“名前そのもの”が重要であり、今後Windows 8.1/RTのアップデートとして提供されていく各種機能やMicrosoftの戦略を読み解くための鍵となる可能性がある。
Windows Phone 8.1のβ版はすでに一部開発者の間にクローズドβの形で2月には提供が始まっており、Buildのタイミングで公開されるのは、より広い範囲を対象としたオープンβになるとみられる。
マーケティングに関する新施策の数々にも注目だ。同社はOEM新パートナーの発表ならびに、Qualcommリファレンス端末による開発サイクル縮小などの施策をMWCのタイミングで発表しているが、その時点で発表された新パートナーは中国やインドのメーカーなどであり、どちらかといえば途上国向けの拡販を意識していた印象がある。
だが、Buildでの期待はiPhoneやAndroidのハイエンド端末が強い「日本などの先進国での新パートナーや販売施策」だ。米国企業のOSでありながら、米国での勢力はお世辞にも強くないといえる現在のWindows Phoneだが、米国でのもう一段の盛り上げ策に加え、新製品投入が止まっている日本への言及に期待したい。
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