この記事は、ブログ「(n)」より転載、編集しています。
Windows XP が2014年4月9日でサポートが終了しますね(参照リンク)。
ボクのところにも知人から「XPを使っているんだけど使い続けるには何に気をつければいい?」という質問が寄せられています。
ということでWindows XPを使い続けるために必要なモノを考えてみました。と言っても気をつけることって、修正プログラムがリリースされなくなる以上、サポートが終了する前から気をつけていたこと以外に気をつけられることってないと思います。
これから発見される脆弱性には対応できない
できることと言えば、ウイルス対策ソフトのパターンを最新に保って、EMET(Enhanced Mitigation Experience Toolkit、マイクロソフトが提供する「攻撃緩和」ツール)をインストールするくらいです。でも、ウイルス対策ソフトのパターンファイルを最新に保っても、100%検知してブロックすることは不可能というのは周知の事実ですよね。
先日こんなニュースもありました。
⇒「新型マルウェア、54%は対策ソフトで検知できず——NTTグループが分析(参照記事)」
EMETをインストール(インストール可なのはSP3以降)したとしても機能としては、Windows 7以降にインストールするのと比べて歴然とした差があります。
平たく言うと、XP + EMETと新しいWindows OS + EMETとを比較するした場合、前者のほうが防御機能を回避できる余地が多分にあると言えます。これから発見されるであろう脆弱性への攻撃を緩和することが満足にできないわけです。
XPを使い続けるのは健康保険を持たない生活のようなもの
Windows XPをこれからも今まで通り使い続けることは、ちょっとたとえは悪いかもしれませんが「健康保険を持たずに生活すること」に近いと思います。
いくら病気にならないように健康的な生活を心がけても人間は病気になってしまいます。健康保険がなければ気が遠くなるような金額を支払うことになる可能性もあります。実費を支払うことにためらいを感じて、病院に行かず、だましだまし生活をしていたら取り返しのつかない状態になり、最悪の場合死んでしまいます。
これをコンピュータで言うとマルウェア(ウイルス)に感染し、データが破壊されたり盗み出されたりするということになります。選択としては、
- サポートが切れる前、最悪、切れて間もなくにサポートが継続しているOSに乗り換えるための手間とお金といったリソースを先にかける(Windows以外という選択肢もあるでしょう。PCを捨て、タブレットなどにするという選択肢もあると思います)
- それを惜しんで、被害にあったときに前者の選択よりも多くのリソースをかける
の二択です。
もちろん、後者の選択肢を選んだ場合は、どんなにお金や手間をかけても補えない可能性はあります。たとえで言った「死」が待っているかもしれません。
とはいえ、そういったことが必ず起きるとも言い切れません。Windows XPを使い続けたからといって100%大変なことになるとは限りません。だから、難しいんですね。大小さまざまな理由から乗り換えられない人は、たくさんいると思います。
今、お金と手間をかけるか、何かあったときにお金と手間をかけるかです。繰り返しになりますが後者は取り返しがつかない可能性付きです。Windows XPを使い続けるために必要なモノは、上記事実を踏まえた上での「覚悟」なのだと思います。後悔先に立たずです。
おまけ:
ボクがXPから乗り換えた理由を書いておきます。XPが動作しているPCは基本的に遅いです。もちろん、セキュリティ面のこともありますが、業務効率が極端に落ちます。それに耐えられないと判断したからです。
辻伸弘(つじ・のぶひろ)
1979年大阪府生まれ。セキュリティエンジニアとして、主にコンピュータの弱点を洗い出し、修正方法を助言するペネトレーションテストなどに従事。プライベートでも趣味としてのハニーポットの運用、侵入検知システム(IDS)による監視、セキュリティ情勢の調査・分析などを行っている。
辻氏のTwitter: http://twitter.com/ntsuji
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