人はどこを見ているのか——視線を追いかける「アイトラッキング(眼球追跡)」の技術に注目が集まっている。清涼飲料水メーカーのダイドードリンコ(以下、ダイドー)はアイトラッキングを使って、客が自販機で飲み物を買う際、どの部分に注視しているかを分析(関連記事)。その結果、これまで業界の“常識”とされていた「左上」ではなく、「左下」であることが分かったのだ。
ダイドーが使用したのは、スウェーデンのトビー・テクノロジー社が開発した眼鏡型の装置。アイトラッキング用のサービスや機器で世界トップシェアを誇る同社は、どんなところにこのサービスを導入してきたのか。「アイトラッキングには半世紀の歴史がある。当初は大学が学術研究などに利用してきたが、最近は企業がマーケティングリサーチに使うケースが増えてきた」(トビー社)という。
視線を追跡する……と聞くと、なんだか近未来なイメージがあるが、実はこの技術は古くから活用されている。視線データを集め続けてきたことで、どんなことが分かってきたのか。また、今後はどのような形で活用されていくのか。トビー・テクノロジー・ジャパンの蜂巣健一(はちす・けんいち)社長にうかがった。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。
蜂巣健一(はちす・けんいち):
早大法卒、東工大院中退。伊藤忠商事には、約10年在籍し、経営企画部、英国駐在、アジア生産などを経験。マッキャンエリクソンでは、グローバルIT企業を担当。その後、国内外の技術ベンチャー企業の経営に携わり、2011年より現職。トビー社は、アイトラッキングの世界最大手。日本においては、のべ500超の大学、研究所、民間企業で採用されている。広告調査、商品パッケージや商品棚割の調査、Webサイトやスマホのユーザビリティテストなどにおいて効果的な調査手法として使用され、脳計測など、他の生理計測との併用も増えている。
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