「紀伊國屋書店ウェブストア／Kinoppy」を徹底解剖する

紀伊國屋書店ウェブストア

紀伊國屋書店Kinoppy

　紙の本は、購入してしまえば「どの書店で買ったか？」が大きな違いになることはありません。しかし、電子書籍は「どの書店で買ったか？」で、その後の体験が大きく異なります。それは、音楽・映像・ゲームなどの配信サービスと同じように、電子書店がただ単に読み物をパッケージとして販売しているだけではなく、購入後の読書環境や保管に至るまでの総合的な「サービス」を提供しているからです。

　国内でサービスを展開している電子書店はいくつもあり、群雄割拠の様を呈しています。まだ「どこを利用すればいいのだろう？」と悩んでいる方も多いでしょう。どの電子書店もサービス内容を刷新し続けており、以前に比べると格段に使い勝手がよくなっています。

　この「電子書店完全ガイド」は、以下の5つのレビュー要素と、前回のレビューとの違いを中心に徹底解説していきます。

　各項目について、3点を平均とし、いい所があれば加点、悪い所があれば減点という形で評点します。記事の最後で、評点結果をチャートグラフでも用意しました。前回の評点とも比較できますので、そちらも参考にしてください。

　なお、どの電子書店も以前と比べてサービスレベルが向上しているため、前回は加点した項目でも今回は通常レベルのサービスとみなして加点しない場合もあります。全体のレベル向上により、相対的に評点が前回より下がる場合もあることをあらかじめご了承ください。

　2013年度版の第10回目は、「紀伊國屋書店ウェブストア」「紀伊國屋書店Kinoppy」をレビューします。

　紀伊國屋書店ウェブストアは、以前の「紀伊國屋書店BookWeb（紙書籍の通販と電子書籍の販売サイト）」「紀伊國屋書店BookWebPlus（電子書籍のサイト）」「ポイントマイページ（Kinokuniya Point Cardのサイト）」「ForestPlus（DVD/CDのショッピングサイト）」を統合、リニューアルしたサイトです。

　紀伊國屋書店Kinoppyは電子書籍リーダーアプリの名称、Kinoppyの中のストアは「Kinoppy アプリストア」という名称です。前回のレビュー（2012年9月21日）はこちらです。

ラインアップは充実しているか？

　紀伊國屋書店ウェブストアには「出版社で探す」メニューがあり、出版社別の配信数も表示されます。この数字を合計すると14万6665点で、出版社数は749社でした（2014年3月7日時点）。

　［電子書籍を探す］でキーワードを何も入力せずに検索すると「全10万9521件」と表示されるため、この数字は正確ではないようです。同じ日の数字で比較すると、Reader Storeより若干多く、Kindleストアの日本語書籍よりは少ない平均的なラインアップです。なお、シリーズ数は不明です。

出版社別の数字を合計すると14万6665点

［ジャンル一覧］に雑誌はないが、中央のカラムに［雑誌］タブはある

　次に、ジャンル別の数字です。［セーフサーチOFF］の状態で、ジャンルを選択したときに表示される件数を記録しました。検索結果をリロードすると件数が変わる場合があったため、若干誤差があると思ってください。なお、1つの本は1つのジャンルにのみ登録される形になっているようです。また、［ジャンル一覧］に雑誌はなく、中央カラムの［雑誌］タブからは点数が分かりません。PICK UPに載っている一覧を見る限り、前回調査時よりは増えているものの、電子雑誌の取り扱いはまだ少ない（☆-0.5）ままのようです。

　もともと件数の多かった［文芸］［コミック］と、［その他］（18歳以上対象）の伸びが目立ちます。［学術・教養］が前回比でマイナスになっていますが、［新書・選書］や［写真集］といったジャンルが新設されているので、ジャンルの振り替えがあったものと思われます。

　前回と同様に、配信数の多い［文芸］と［コミック］ジャンルの詳細も調べてみました。

　前回と比較すると、一部のレーベルだけがサブジャンルに表示されていることに気づきます。この点は次項で詳しく説明します。

評点：☆2.5