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事例別「11acホームルータ」導入ガイド
- 【導入事例 1】家族みんなが、それぞれPC、スマートフォン、タブレットを使う場合
- 【導入事例 2】ワタシはハイクラスPCユーザー。なにより「速度/レスポンス」を求めたい
- 【導入事例 3】テレビやレコーダーも含めて11ac化したい
- 【導入事例 4】階上や離れた部屋で「無線LANの電波が届きにくい」のが困っている
- 【導入事例 5】階上でも“もっと高速”を。AV機器と連携した番組ネットワーク配信も行いたい
前編で紹介した3つの基本事例に続き、後編では「階上で、電波が届きにくい」シーンに対応できる「IEEE802.11ac」(以下、11acと略)対応機器の推奨導入事例を検証していこう検証していこう。
【導入事例 4】階上や離れた部屋で「無線LANの電波が届きにくい」のが困っている
自宅への無線LAN導入において意外とよく聞かれる悩みが「場所によって、電波が届かない/届きにくい」こと。例えば3階建てクラスの一戸建てでは、1階(の電話線がある場所など)に無線LANルータ(親機)を設置すると、3階のプライベートルームでは届きにくい……となりがちだ。プライベートルームで使うスマートフォンも、ならばLTEの方が速いからとガンガン使っていると月末を待たずに通信量の上限に達してしまい、結局使い勝手を損ねてしまう悪循環もあったりする。
そんな家庭には「AtermWF1200HP イーサネットコンバータモデル」がお勧めだ。【導入事例 1】で推奨したAtermWF1200HPを2台セットにしたパッケージである。ポイントはAtermWF1200HPに備わる「無線LAN電波中継器」機能を有効に活用することにある。
1台をこれまで通り1階の電話線/インターネット回線の引き込み口がある場所などに置き、もう1台は階上の廊下や階段付近など、プライベートルームとの中間に置くイメージだ。電波を中継することでこれまで届きにくかった階上のプライベートルームでも快適に無線LAN通信が使えるようになる。壁かけ設置も可能な小型ボディのAtermWF1200HPなら、設置方法もかなり自由があるのもポイントだ。
ここでは「WiFi高速中継モード」を使おう。このモードは、親機と無線LAN中継器間を最大867Mbpsの5GHz帯の11acで通信し、無線LAN中継器からクライアント(階上のPCやスマートフォンなど)は2.4GHz帯の11n(最大300Mbps)で通信する仕組み。2.4GHz帯ならすべての無線LAN機器がサポートするので、PCやスマートフォン、タブレットはもちろん、無線LAN対応のゲーム機などもより快適に通信できるようになるはずだ。
では実通信速度はどうか。親機とスマートフォンを電波が届きにくくなる階上の部屋の距離まで離し、間に無線LAN中継器を置くことでどれだけ速度が改善されるかを検証してみよう。親機はAtermWF1200HP、スマートフォンはNexus 5、中継器はもう1台のAtermWF1200HPを「WiFi高速中継モード」に切り替えて検証した。
参考までに、近距離での親機ースマートフォン間の実速度は11ac接続で下り約94Mbps/上り約74Mbps。中継器を置く場所(3階の階段付近)では下り約45Mbps/上り約47Mbpsが出る。一方、3階のプライベートルームでは11acが(電波が届かず)接続不可、2.4GHz帯11n接続はギリギリエリアで上り/下りともに9Mbpsと極めて遅くなる環境だ。親機から階段を上った3階まではある程度強めに到達したとしても、そこからプライベートルームまでの水平方向には効率よく伝わりにくいようだ。
そこでWiFi高速中継モードを有効した子機を置くとどうか。プライベートルームでも、実速度で下り約51Mbps/上り約41Mbpsを記録し、11n接続時で約5倍もの劇的な改善が確認できた。
実速度もそうだが、無線LANの電波状況が安定するようになったので速度の揺れがなくなり、実利用面での体感値もかなり改善された。安定して通信できると、スマートフォンやタブレットなどでの動画コンテンツやアプリのダウンロードも極めて快適になる。部屋ではLTEのほうが速いので……とあえて非効率でコストが余計にかかるかもしれない手段をとる必要もなくなるはずだ。
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