日本の名だたるデジカメメーカーの中で唯一レンズ交換式カメラを用意していないのが、カシオ計算機。いやそれどころかいわゆるハイエンドコンデジすらなかったのだが、2013年秋にとうとう1/1.7型センサーモデル「EX-10」を投入するにいたったのである。
そして間髪入れず、その兄弟機ともいえるEX-100が2014年春に登場して、2ラインアップとなった。
その2台を並べて撮った写真がこれである。さて、どっちがEX-10でどっちがEX-100でしょう。いやあ、実物を並べて見て笑っちゃいました。ここまで同じなのも珍しい。
両者の違いはレンズ。EX-10は28〜112ミリ相当でF1.8-2.5という超明るいレンズを積んだスナップ向けモデル。EX-100は28〜300ミリ相当で全域F2.8という高倍率レンズを積んだ望遠重視モデルだ。普通、これだけレンズが違うとボディも違ったデザインになりそうなものだが、ほとんど同じってとこが面白い。普通は目立つところにモデル名をいれるものだけど、それもないのだ。
今回取り上げるのはEX-100の方だが、機能的にはEX-10もほぼ同じなのでEX-10に興味ある方もどうぞ。ちなみに、レンズ部についてるのは、ねじ込み式の自動開閉レンズキャップ。どこかで観たことがある、と思った人は正しい。
それぞれのレンズは自動開閉キャップも含めてオリンパスの「XZ-2」「STYLUS 1」と同じなのだ(たぶん)。構造的にレンズフードがつかないこともあって逆光に弱い面はあるが、よいレンズである。
じゃあ同じレンズ(たぶん)を搭載したEX-100とSTYLUS 1は似たカメラかというと、まったく違う。両者の性格も違えば中身も違う。そこが面白い。EX-100はカシオらしいアイデアとハイスピードEXILIMらしい速さが詰まったユニークなハイエンド機なのだ。
28〜300mm F2.8の強力なレンズとデカいモニタ
EX-100は28〜300ミリ相当で全域F2.8という素晴らしいスペックのレンズを持っている。300ミリ相当でF2.8である。しかもレンズ前約5センチまで寄れる。これはいい。撮像素子は1/1.7型の裏面照射型CMOSセンサーで1210万画素。ハイエンドコンデジで一般的に使われているものだ。
これだけ見るとマニュアル指向のコンデジになりそうだが、そうならないところがカシオの面白さ。
まずEVFは持たず、背面モニタは3.5型とデカい。たいていのコンデジは3型なのでひとまわり違う印象だ。しかも明るくて鮮やかなので見栄えがいい。その上チルトする。下に55度、上に180度。つまり自分撮り対応モニタなのだ。さらにモニタ裏には小さなスタンドが格納されているので、角度は限られるけど、机上などにおいて使えるのである。
これは面白い。残念なのはタッチパネルじゃないことくらいか。
操作系は同社のハイスピードEXILIMにコントロールリングファンクションが追加されたものとなっている。鏡胴のリングを回してあれこれパラメータを変更できるという、最近のハイエンド機ではポピュラーなものだ。「RING」ボタンを押せば、その場でリングに割り当てる機能を変更できる。
とっさに細かく設定して撮る、というマニュアル指向ではないが、使い勝手は悪くない。キーカスタマイズもできるし、背面のホイールとレンズ周りのリングを組み合わせればたいていの調節はすぐできる。
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