Intelは、米カリフォルニア州サンフランシスコ市で開催中のゲーム開発者向け会議「Game Developer Conference 2014」にあわせ、同社のデスクトップCPUロードマップを公開。新たに4種類のCPUを投入することで、同プラットフォームの強化を図る意向を明らかにした。
同社が「デスクトップPCの再発明」と定義する、2014年のデスクトップCPU計画は、2013年、大幅に売り上げを落としたPC市場において、デスクトップPCや同CPUが堅調に推移したことを受け、全セグメントにおける性能強化に乗り出した格好だ。
ここ数年、デスクトップPC市場のけん引役を果たしているのは、同社がAIO(All-In-One:オールインワンの略)と呼ぶディスプレイ一体型モデルだ。同社はIDCの最新リサーチ結果をもとに、2013年には1500万台のAIOが出荷され、2014〜2018年にかけて、年9%の成長が見込まれると説明。また、昨年はNUC(Next Unit of Computing)に代表される超小型デスクトップPCや、ハイエンドCPU(Core i7および同i5)についても過去最高の出荷を記録したという。これは、タブレット端末との競合でシェアを落としたノートPCと違い、デスクトップPCには代替となるものがないことが大きく影響しているとみられている。このままノートPC市場が縮小を続ければ、再びデスクトップがPC市場の過半数のシェアを占める可能性すらあるのだ。
そこで、同社は新しいデスクトップ戦略として、以下の3つを掲げる。
1、成長が見込まれるデスクトップPCの再発明
- 堅調なAIO市場のテコ入れ
- エンスージアスト向け製品の拡充
- NUCなどの小型PCビジネスの強化
- 新セグメントの創出
2、デスクトッププラットフォームへの魅力的なユーザー体験の提供
3、将来のリーダーシップのための革新
まず、AIOに関しては、ポータブルAIOと呼ぶ可搬性を持たせた製品の拡充を図るとともに、Intel RealSense Cameraを搭載することでジェスチャー認識やパスワード入力不要のユーザー認証などを実現、新しいユーザー体験を創出したい考えだ。
また、NUCやGIGABYTEのBRIXシリーズに代表される超小型PCに向けては、強力な内蔵グラフィックス機能も手伝って、これまでデスクトップPCが利用されてこなかった用途にも裾野を広げているとアピール。今後、より幅広いレンジのCPUサポートやグラフィックスの強化などを施すことにより、同市場をさらに拡大させていく。
一方、デスクトップ環境における新しいユーザー体験の実現では、「Intel Ready Mode Technology」と呼ぶ、新しい省電力ステージのサポートを軸とする、常時インターネット接続や、モバイル端末などとのシームレスなデータ共有を実現する。
この機能は、第4世代CoreプロセッサとWindows 8.1/8/7との組み合わせで実現するもので、デスクトップCPUでも省電力ステイトの“C7”をサポートすることで、CPUコアがOFFの状態でも、ネットワークデバイスなどほかのI/Oデバイスとの最低限の連係を維持できるようにするとともに、よりすばやいスタンバイからの復帰を可能にするもの。また、同機能とサードパーティ製ソフトを組み合わせることで、ホームネットワークを共有するパーソナルデバイスとのデータ連係や、データバックアップなどを自動的に行なえるようにすることもできるという。同機能は、マザーボードやファームウェアの対応も不可欠となるため、今年末に大手PCベンダーなどから対応製品が投入される見込みだ。なお、同様の省電力機能はすでに富士通が昨年市場投入したAIOでも実現している。
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