恒例 春の桜撮影
今年も春がやってまいりました。春の被写体といえば桜が定番。定番中の定番というか定番の王様というかキングオブ定番というか(あ、同じ意味か)、おかげで毎年桜を撮る話をするのである。
といっても、3月初〜中旬に首都圏で撮れる桜といえば、早咲きで有名な河津桜くらい。3月に河津(伊豆半島にあります。そこで見つかった桜)を訪れると川の両岸にびっしりときれいなピンクの花が並び、その華やかさはたまらんし、ピンク色が濃くてものすごく艶やかできれいで写真映えするのでいろんなとこで重宝されてる。
ただ、桜といえば誰もが思い浮かべるのは3月下旬から4月初旬に咲き誇るソメイヨシノ(あるいはそれに近い種類の桜)だからして、この連載としてはそちらを使いたい。咲いてからでは間に合わない。
そこで1年前に撮りためた写真を使うのである。
桜撮影の基本
ソメイヨシノ、あるいはそれに近い種類の桜——って書き方をするのは、桜には無数の種類があり、都内でよく見かけるのはソメイヨシノなのだが、実はオオシマザクラやコヒガンザクラや、その他もろもろのソメイヨシノ以外の桜も植えられているから——はけっこう撮影の難易度が高い花である。
まずは、開花時期が短い。これはもう周知の通り。さらに、花びらが薄くて色がすごく淡い。
薄くて淡い分、撮り方によって写りが大きく変わってしまう。人が目で見て感じた「ほのかに色づいてふわっとしててきれい」なイメージをできるだけ撮るポイントは「明るく撮る」こと。特に花びらに陽射しが当たってないときは、プラスの補正を常に意識したい。
花びらにぐっと寄って撮る時も、プラスの補正をかけちゃった方がふわっとして桜っぽくなる。マクロレンズを使ってギリギリまで寄ってみた。
どのくらいプラスにするか、あるいはしないかは天候や背景との兼ね合いで決まるので難しいんだけど、花びらに陽射しが当たってないときや曇天時、背景が明るいときはプラス、背景が暗いときは陽射しがきれいに当たってるときはあまり上げなくていい。
ソメイヨシノって幹の途中から突然花がぽこんと咲くのもまた面白くて、ちょうど太い枝の股から顔を出してたので撮ってみた。この場合、背景が幹で暗いのでプラスの補正をかけると花びらが白飛びしちゃう。そういうときは補正しない。
よく晴れた日でもちょっとプラス目がお勧め。華やかさが出る。今回天候に恵まれず、ソメイヨシノじゃないのはご勘弁。後ろの煙突がはいるような角度を選んでちょっと望遠で撮ってみた。
そうそうこうしてみると花はすごくきれいなピンクなんだけど、ひとつひとつを見るとそうでもない。花びらの1枚1枚はすごくほのかな色なのだ。それが重なることで、ちょっと引いてみると色が濃くみえるのだ。
花をふわっとした感じで出したいなら、背景も同系色で密度が濃い方がいい。近くから広角で撮るよりも、ちょっと離れて望遠で撮る方が多くの花が重なり合ってより華やかになる。
下の写真は目黒川沿いの桜並木をネタに中望遠から望遠まで伸ばしながら撮ってみた。だいたいどれも+1くらいの補正をかけている。
桜の群衆感を出したいなら望遠でちょっと明るめがいい。
それにしても、休日とはいえ、曇天下であらゆる橋にこれだけの人が桜を楽しんでいるのだからすごいもんである。
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