ごくたま〜〜にしか更新されないこの連載。普段はテクノロジ関連とオーディオ&ビジュアル関連の記事ばかり書いているワタクシゆえ、シロモノ家電を取材する機会は圧倒的に少のうございます。まずは、間が空いていることをお許しくださいまし(編注:たまにというか、まだ2回目です)。
さて、今回のテーマはこのところ家電系Webサイトや物欲系ブロガーさんたちのサイトで話題になっているダイソンの扇風機「Dyson Cool AM06/AM07」である。先週末、プレスおよびブロガー向けのイベントが開かれたのだ。
このダイソンの第2世代扇風機。モノとしての紹介は実に簡単。広告の見出し通り「静かになった羽根のない扇風機」であり、それ以上ではない。あとはWebでさまざまなブロガーさんの感想を見て回れば「なるほど静かそうだなぁ」と分かるだろう。価格に納得できるなら、より品質感の増した仕上げもあって、オススメの製品である。レビューとしては「以上」だ(編注:ちょっと……)。
しかし、この”静かになった”ことで、これまでとは使い方ができるようになったと思っている。その仕組み上の面白さや、従来製品との設計アプローチの違いなど、トリビア的な技術タームも含めてこの製品を取り上げてみたい。
サーキュレーター的にも使える第2世代Dyson Cool
筆者宅では盛夏のなかで、サーキュレーターが欠かせない。サーキュレーターとは部屋の空気をかき混ぜ、温度の偏りを緩和するためのファンのことだ。
わが家の場合、大規模集合住宅の西側角部屋の最上階という立地であるため、夏は部屋全体が焼け石のように暖まり、夜半過ぎても輻射熱を発して中の住人(すなわち、ワタクシ)を責め立てる。メーカー推奨の広さに対して1.5倍程度のエアコンを導入していても、なかなか冷えないぐらい。
さらに、この部屋には映像機器評価や高画質ソフト評価用の大光量プロジェクターも吊ってある。暖かい空気は上方に滞留するので、プロジェクターの冷却ファンもガンガン回り始める。かといって、エアコンを強めるとエアコンのファンノイズが大きくなり、さらには直接冷気が体に当たって辛い。体は冷えるのに、部屋はなかなか冷えず、音もうるさく………。
しかし、サーキュレーターで部屋の対角方向、斜め上に向けて気流を作ってやると、快適性が増し、エアコンとプロジェクター、トータルのファンノイズを激減させることもできる。
もちろん、冬でも暖房をつけている中で上手にサーキュレーターを使うと効率が良い。効率が良いだけでなく「エアコン暖房をつけていると、部屋の上の方が暖かくなるのが好きじゃない」という暖房嫌いも、かなり快適性が増す。わが妻は暖房嫌いでエアコン暖房を使わず、床暖房+厚着でなんとかしのぎ、どうしようもない時だけ軽くエアコン暖房という人だが、サーキュレーターを導入してからは、暖房への嫌悪感がグッと下がったようだ。筆者自身もそれを実感している。
エネルギー効率の高さをうたい、羽根がないため子どもがいても大丈夫。しかもインテリア性が高いとなれば、「やっぱりDyson Cool! イイネ!」と言いたいところだが、筆者がこれまで使っていたのは米国の「ボルネード」という会社が作っているサーキュレーターだった。
価格の違いもあるが、何よりサーキュレーターとして充分な風量を確保しようとすると、初代の“エアマルチプライアー”「AM01」の動作音は無視できないほど大きかったからだ。第2世代となるDyson Coolは75%(すなわち6dB)も騒音の音圧が下がったそうだが、おそらく実感としてはもっと下がったように感じると思う。
とりわけ初期モデルと比べると、グラフ上も1kHz前後の目立ちやすい音域でノイズが除去されており、体感的な騒音低減が大きく感じるのだろう。前述の6dBの騒音低減は可聴帯域の全エネルギーに対するものなので、実質的には「アレ?」と疑問に思うほど小さくなる。
Dyson Coolは最大10までの風量調整が可能だが、最大にしておいても生活空間のクオリティーを下げることがない。これならば扇風機ではなく、サーキュレーターとして、わが家のリビングに常駐させてもいいなぁというのが正直な感想だった。とりわけフロアスタンド型の「AM07」は、広めのリビングルームにサーキュレーターとして常備するのにピッタリだと思う。
コピー商品には以前にも増して注意が必要かも?
さて、この商品の発表会に色々お話をうかがったのだが、その中の話から、”これはコピー商品が作りにくそうだな”と感じた。ちょっとした小ネタとして、取材時のやり取りを紹介しよう。
すでにさまざまなところで伝えられているように、第2世代Dyson Coolはヘルムホルツ共鳴させた音を、モーターとインペラーが出すノイズと合成することで打ち消して動作音を低減。さらに流体シミュレーションで空気流路をスムーズにして製品本体の細かな振動を抑えることで、さらに音を小さくしたとのことだ。
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