トレンドマイクロは、日本マイクロソフトの国内データセンターの開設に合わせて、Windows Azureに関するセキュリティ対策で協業することを発表した。協業の背景や狙いを上席執行役員 エンタープライズビジネス統括本部長の大場章弘氏に聞いた。
大場氏は、マイクロソフトで長らくWindowsプラットフォームを担当し、日本でのWindows Azureサービスの立ち上げも行った。実際、今回の2社の協業には大場氏が深くかかわっているという。OS分野の経験が長い同氏は、セキュリティ分野について「企業のクラウド利用が広がる一方、セキュリティの脅威が複雑化し、安全性を高めないといけない。より活動の幅を広げるべく、セキュリティベンダーの立場から取り組みたいと考えている」と話す。
企業のクラウド利用ではオンラインサービスなどの基盤としてパブリッククラウドのIaaSが先行した。こうした用途で存在感を発揮しているのがAmazon Web Services(AWS)であり、トレンドマイクロを含めたセキュリティベンダー各社のAWS対応が続々と進む。一方、Windows Azureサービスはミドルウェアを含むPaaS領域で先行(現在はIaaSも提供)しているが、Azureのサポートをうたう大手セキュリティベンダーは少ない。
最近では短期間でのシステム構築や運用の容易性でPaaS、柔軟性の高いシステム構築ではIaaSといった使い分けも広まり始めた。ただ、「Webサイトなどインターネットに公開されたシステムは、常に外部からの脅威に晒され、その点ではIaaSもPaaSも同じ」(大場氏)という。
2社の主な協業内容は(1)Azure上でのトレンドマイクロ製品の動作検証、(2)実装向けの技術ガイドの開発、(3)実装パートナーへの支援、(4)クラウドセキュリティに関するコンテンツ開発——の4点。大場氏は、(2)を重点に挙げる。
「AWSでは利用シナリオに応じた実装方法がある程度確立されているものの、Azureではあまり無い。まずオートスケールのようなクラウドならでの利用にも、セキュリティ対策が確実に機能することを担保していく」(同氏)
IaaSとPaaSにおけるセキュリティ対策の主な違いには、例えば、IaaSではOS層より上位層(ミドルウェアやアプリケーションなど)のセキュリティ対策の実施を基本的には利用者側が担い、PaaSではミドルウェア層よりも上位層を担うといった点があるだろう。
トレンドマイクロには、ユーザー企業のPaaS利用の拡大傾向を踏まえ、製品が動作可能なクラウドサービスを競合より先に広げ、PaaS向けセキュリティでの主導権を握る狙いがあるようだ。
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