ダイソンは3月7日、羽根のない扇風機の新製品“Dyson Cool”「AM06」および「AM07」を発表した。運転音の低減を図り、従来機「AM01」に比べて最大75%の静音化を果たしたモデルだ。価格はオープン。店頭ではテーブルファンの「AM06」が4万800円(税抜き)、タワーファンの「AM07」が5万4800円になる見込み。4月30日に全国の家電量販店などで発売する。
発表会であいさつに立った同社シニアデザインエンジニアのマーティン・ピーク氏は、先代の「AM01」などの運転音が大きい理由について、「主な要因は2つ。モーター音と、内部の気流の乱れだった。とくにモーターの音をインペラー(羽根)が増幅していた」と指摘。その上で、「見た目はAM01とさほど変わらないが、AM06/AM07には新しい技術が数多く入っている。68名のエンジニアが3年の月日をかけて開発した」と胸を張る。
最も特長的なのは、オーディオ用の吸音パネルなどにも使われる「ホルムヘルツ式空洞」を設けたことだ。本体下部にモーターやインペラー(羽根)から発生する駆動音に対して“共鳴”を起こす空洞を設けることにより、その固有振動数と同じ周波数の音が入ったとき、孔部分の粘性摩擦により音が吸収される仕組みだ。特定の周波数の音にしか効果はないが、新製品では主に1000Hz前後の「蚊の羽音が出すノイズの周波数に近い音を抑制する」という。
空気を取り入れ、押し出す役割を持つインペラー(羽根)の形状も変わった。従来機では、特定の音が大きくならないように羽根と羽根の間隔を意図的にバラバラにしていたが、今回をそれを統一して発生する音の周波数範囲を限定。これにより、ホルムヘルツ式空洞を効果的に作用させる。
さらに各フィンの先端部には、鳥の羽根を参考にして複数の切り込みを入れ、風切音を抑える。「従来のインペラーでは、フィンの先端部に小さな孔をいくつも開けていた。これも気流の乱れを抑える工夫だったが、鳥の羽根のようにギザギザにしたほうがより効果的だと分かった」(ピーク氏)。
従来機とカットモデルを見比べると、風を出すループ(円形部)部分にも大きな変化があることが分かる。ループの付け根にあたる下側は空間が広く、逆に上部は薄くなった。これは、かかる圧力に応じて空気の通り道を調整し、エアフローをスムーズにするのが目的。インペラーが送り出す空気は、新設計のデフューザーによって2つに分けられ、効率的にループに送り込まれる。「駆動音を大きくする要因の1つは、内部で起きる乱気流だった。空気の流れを整えることで、音を抑えるとともにエネルギー効率も向上した」(ピーク氏)。
このほか、モーターの振動を抑えるケースの装着など、各所に新しい技術を投入した「AM05/07」。スペック的には従来と変わらないブラシレスDCモーター(小型化はしている)で、インペラーの回転数なども変わっていないが、75%もの静音化と省エネ化を両立したという。
機能面では、タイマー機能の追加と磁石式のリモコンが新しい。ループ部の上部に磁力でくっついているリモコンは簡単に着脱が可能で、10段階の風量調節やタイマーの設定が行える。タイマーは日本市場で多用されるオフタイマー(設定した時間になると電源が切れる)。15分から9時間の範囲で設定が可能だ。
そのほかの主な仕様は下表の通り。
型番 | AM06 | AM07 |
---|---|---|
カラーバリエーション | ブラック/ニッケル、ホワイト/シルバー | ブラック/ニッケル、アイアン/サテンブルー |
本体サイズ | 356(幅)×552(高さ)×147(奥行き)ミリ | 230(幅)×1007(高さ)×230(奥行き)ミリ |
重量 | 1.83キログラム | 2.85キログラム |
消費電力 | 3〜21ワット | 4〜52ワット |
価格 | オープン、想定価格は4万800円(税抜き) | オープン、想定価格は5万4800円(税抜き) |
発売日 | 4月30日 | |
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