Barnes & Nobleは、危機的状況にあるNOOK Media部門に関していえば、転換期にある企業といえる。過去2カ月で、同社は電子書籍担当副社長ジム・ヒルト氏、電子製品担当部長ジェイミー・イアノン氏、電子製品担当副社長ビル・セイパースタイン氏の退任を発表した。このほかにもアクセサリー担当部長とほとんどのハードウェア開発者を含む多くの人びとが同社を去っている。経営陣が同社を去った大きな理由は第一にNOOK Mediaが2010年以来10億ドル以上の損失を出したという事実による。
Barnes & Nobleは自社の決算発表に関してかなり透明性が高く、投資家向け電話会議と財務諸表ですべてを開示している。通常、年度末リポートは毎年4月に開示されており、何らかの暗いニュースが発表されている。
同社は2011年に2億900万ドル、2012年に2億6100万ドルの損失を出し、2013年の損失は4億7500万ドルに増加した。2013年7月27日の四半期末に注目すると、5500万ドルの損失をリポートしており、2013年10月26日にNOOKは4500万ドルの損失を出した。この数字をすべて足し合わせると、10億ドルを超える。
Barnes & Nobleのハードウェアが製造過剰で、販売が追い付いていないのは痛いほどに明らかだ。この状況は在庫を動かすためだけに設定された劇的な価格の下落につながった。同社がここ数年でリリースしたどの電子書籍リーダーも、同社初のタブレット「NOOK Color」や同社の第1・2世代の電子書籍リーダーとほとんど同程度に売れなかったことに関して経営陣は確実に非難されるべきだろう。
Amazon.com、Apple、KoboはBarnes & Nobleがデバイス製造を開始したころとほとんど同時期に電子書籍リーダー・タブレット領域に進出している。これらの企業はいずれも大きな収益を上げており、赤字となった四半期はほとんどない。なぜだろうか。ライバル企業から経営陣を引き抜いており、リーダーシップに優れているからだ。リリースしている製品とそのマーケティングを見ればこれは明らかだ。Barnes & NobleのセクシーなテレビCMを見たことがあるといえるだろうか。
どうすれば一企業が10億ドルの損失を出し、それでもなお事業を継続していられるのか筆者には分からない。小売企業のモデルとなっている米国最大の書店がこれほどのトラブルに見舞われるのは理解できないのだ。
状況を打開するべく、Barnes & Nobleは電子書籍関連のスタッフを率いるマーケティング担当副社長にダグ・カールソン氏を指名している。外部から人材を雇用し、新鮮なアイデアを持ち込ませるという考え方がそこには見て取れる。ただし、誰がグループを率いるにしても、そのグループを構成するスタッフが変わるわけではない。
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ハードウェアビジネスから撤退し、事業の見直しを進めようとしていた米書店大手のBarnes & Nobleがその戦略を撤回、今後もハードウェアビジネスを展開する。
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