漫画の内容を文章や画像で詳細に説明する「全文ネタバレ」を掲載するサイトに対し、出版業界が“断固たる措置”を取る態勢に入っている──あるサイトの運営者がこのほど、大手出版社との相談の結果として、過去の全文ネタバレ記事を削除し、今後は同様の記事を更新しない方針を明らかにした。
この運営者によると、出版社側は同様のサイト運営者に対し「自ら記事の削除・サイトの閉鎖などの措置を取って頂ければありがたい」と呼び掛けているという。これを受け、ネタバレ記事を自主的に削除するサイトも出てきている。
明らかにしたのは「ナルトちゃんねる(ネタバレ注意!)」。同サイトは「ストーリー全体を描写するような詳細なネタバレ」=全文ネタバレ記事や、作品の画像による「画バレ」へのリンクを全て削除し、今後は同様の記事は更新しないという。
同サイトの運営者によると、大手出版社の「中の人」との話し合いの結果だという。画像の無断公開などを含むネタバレ行為を出版界はこれまで黙認してきた形だが、現状では全文転載に近い形のものもあるなど無法地帯化しており、出版市場が縮小する厳しい状況にある中、“断固たる措置”を取る態勢に入っているのだという。
対象となる具体的なサイト・ブログ名は明らかにいなかったというが、「検索にすぐ引っかかるようなサイトは軒並み対象だと思って構わない、とのことでした」という。
「おそらくですが“警告なし”で法的手段に出る可能性が高い」が、訴訟は出版社側にも手間とコストがかかるため、「できれば穏便に済ませたい」として、自主的な削除を求めているという。出版社側は「漫画文化の普及に寄与していると認められるようなサイトについては考慮しないでもない」が、「ネタバレ専門サイトはたぶん地獄を見るのではないか」としている。
この記事を受け、「ONE PIECE速報」はネタバレ記事を削除し、今後同様の記事は更新しない方針を明らかにしている。
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