米Googleは5月半ばに開催した開発者会議「Google I/O 2013」において、メガネ型ウェアラブル端末「Google Glass」の詳細に迫る4つのパネルディスカッションを開催した。会場には、忠実にも、混雑したトイレも含め、どこへ行くにもGoogle Glassを着用している人たちもいたが、Googleの予定表には、この録画可能な端末を使用する際のエチケットをテーマにしたセッションは含まれなかった。
Google Glassはモバイルコンピュータとメガネの中間的な端末であり、動画の録画やWebの閲覧を行える。今はまだ選ばれた一部のユーザーにしか配布されていないが、Google Glassは既に2013年の最も話題の最新ガジェットの1つとなっている。ガジェットファンは皆この端末に大いに興奮しているが、一方では、これまで想像だにされなかったプライバシー侵害やポリシー違反につながる可能性をめぐり、議員からカジノ経営者まで、多方面から懸念の声が上がっている。
「先日、女友達と夕食に出かけたときのことだが、席について30分ほどして、『ねえ、それって何だか落ち着かないわ』と言われた」と語るのは、Googleの開発者会議に参加したITコンサルタントのアレン・ファーステンバーグ氏だ。同氏は1週間ほど前からGoogle Glassを着用しているが、このときは相手に食事を楽しんでもらえるようGoogle Glassを外すことにしたという。
また別のときには、同氏はGoogle Glassをかけたまま、そうとは気付かずトイレに入ってしまったこともあったという。
「ほとんどの時間、わたしはGoogle Glassをかけていることをすっかり忘れている」と同氏は語る。
スマートフォンがPCから進化したのと同じように、ウェアラブル端末をテクノロジーの次なる大きな変化と捉える向きは多い。Appleと韓国Samsungも別の形状のウェアラブル端末を開発中と報じられている。
Google Glassの試作機では、メガネフレームの右側部分にがっしりとした細長い板状の部品が設置されている。Google Glassは現在、Googleの慎重な審査に通った数千人の早期ユーザーを対象に試作機が約1500ドルで配布されている。配布が始まって以来、人気コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』でパロディーにされたり、早期ユーザーをからかうブログが人気を集めたりなど、Google Glassはさまざまなところで笑いのネタにされている。
Google Glassの問題をもっと真剣に提起している専門家もいる。Google Glassは従来のハンドヘルド端末と比べてほとんど目立たずに動画を録画できることから、悪用の可能性が懸念されているのだ。
一方、Google Glassは多くのファンも獲得しており、Googleと一部の早期ユーザーは「プライバシーをめぐる懸念は大げさだ」と主張している。従来のビデオカメラと同様、録画中は小さなライトが点滅して、周囲にも分かるようになっている。
開発者会議では、複数の早期ユーザーが「ジムのロッカーや仕事の会議中など、不適切な場面ではGoogle Glassを外すようにしている」と語っていた。ワシントンD.C.在住のWeb開発者マイケル・エバンズ氏は、Google Glassは長編映画の録画には不向きなはずだが、それでも映画館では同端末を外したという。
「映画館から追い出される最初の男になりたくなかったからだ」と同氏。
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