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大きな賭けに出るFacebook WhatsAppは「高い買い物」か

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REUTERS

 世界最大のソーシャルネットワークである米Facebookが、モバイルメッセージング市場で急成長中の新興企業WhatsAppを現金と株式合わせて190億ドルで買収すると発表した。この画期的な取引により、Facebookはモバイルコミュニケーションの世界で存在感を強め、より若いユーザー層への訴求力を高めたい考えだ。

 買収は、40億ドルの現金と120億ドル相当の自社株を組み合わせて実施され、さらに30億ドル相当の制限付き株式が数年かけて供与される。これは、Facebookが自社の新規株式公開(IPO)で調達した額を上回る規模であり、同社がモバイルメッセージング市場にかける意気込みの強さを示している。

 WhatsAppは、ウクライナからの移民で大学を中退したジャン・コウム氏と、スタンフォード大卒のブライアン・アクトン氏が創業した新興企業。創業から5年でユーザー数は4億5000万人を突破し、現在も1日100万人のペースでユーザーが増加するなど、シリコンバレーにおいておとぎ話のような成功を収めている。

 Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは2月19日、記者会見で次のように語った。「世界の歴史において、まだ誰もこのようなことはやっていない」

 ザッカーバーグ氏が2012年春、写真共有サービスInstagramの10億ドルでの買収を週末のわずか数日間で決断したことはよく知られているが、19日の会見によれば、今回は10日前の2月9日夜にWhatsAppのコウムCEOと夕食をともにした際に買収を持ち掛けたという。

 WhatsAppは、スマートフォン向けメッセージングアプリを手掛ける主力企業の1つ。モバイル端末を使ったメッセージングアプリは現在、北米やアジア、欧州で急拡大しており、WhatsAppはテキスト機能が中心だが、日本の「LINE」や中国Tencent Holdingsの「WeChat」のように、メッセージング機能のほかにゲームや電子商取引の機能まで備えたアプリも人気だ。

 今回の買収により、Facebookは新たなユーザー層にリーチを広げられる。メインストリームのソーシャルネットワークは利用せず、WhatsAppなどのサービスを好む10代の若者もその一部だ。プライベートメッセージングの人気拡大とともに、こうしたFacebookの競合サービスは急速にユーザー数を伸ばしている。

 「こうした層は“Facebook Nevers(Facebookを使いたがらない人たち)”と呼ばれている」。消滅動画アプリ「Snapchat」の初期投資者であるベンチャーキャピタル企業Lightspeedのジェレミー・ルー氏は、そう語る。

 WhatsAppのサービスがどのようにして元を取れるのかは、まだ定かではない。

 ザッカーバーグ氏とコウム氏は記者会見において、年間1ドルの利用料(初年度は無料)でWhatsAppがどのように利益を出すのかについては語らなかった。「今後も成長と製品に集中し続けることが、正しい戦略のはずだ」と、ザッカーバーグ氏は語る。

 また両氏はWhatsAppを今後も独立したサービスとして運営し、広告を掲載しない方針も継続することを約束している。

 「コミュニケーションサービスは毎日使う必要があり、ネットワーク効果が高い」と、Snapchatの初期投資者であるジョナサン・テオ氏は語る。Snapchatは2013年にFacebookから数十億ドルでの買収を持ち掛けられたが、その提案を蹴ったとされている。

 「Facebookはどちらかと言えばコンテンツがメインで、コミュニケーションツールとしてはまだ十分に確立していない」と、同氏は続ける。

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