ドワンゴは1月31日、日本棋院と電気通信大学と協力し、人間とコンピューターが対局する「囲碁電王戦」を2月11日と同16日に開催すると発表した。世界最強の囲碁ソフト「Zen」にプロ棋士、アマ棋士に加え、生活の党代表の小沢一郎氏も挑む。
将棋でこれまで2度開催された電王戦を囲碁で初めて実施する。人間と対戦するコンピューターは世界最強ソフトの1つ「Zen」。駒ごとの優劣がなく、特定の駒を奪うのではなく局面全体で勝敗が決まるなどの特性から、囲碁をコンピュータに学習させることは将棋と比較しても難しく、世界最強とはいえ「現状でははっきり言って実力は遠く及ばない」(電気通信大学の伊藤毅志助教)とされている。
実力を拮抗させるため、今回の電王戦ではプロ棋士とは9路盤、アマチュア日本代表とは13路盤を使用し、通常の19路盤よりも狭いフィールドで戦う。日本棋院の山城宏副理事長は「どちらが勝ってもおかしくないバランス。普段の試合と碁盤の使い方も変わるのも見どころ」と話す。
小沢一郎氏は一般プレイヤーの代表として参戦。「戦局全体を見る必要がある囲碁は政治に通ずる」などの持論を持つ小沢氏は、これまでもniconicoで与謝野馨氏との対局の生中継などを行ってきた。“政界最強”とも評される実力者として、19路盤を使った一番勝負に挑む。
電王戦に出場するプロ棋士、張豊猷(ちょう・りゆう)八段と平田智也三段は共にコンピューター囲碁との対局は初めて。普段は当然19路盤での鍛錬を積んでいる2人は、今回の対局に向け棋士仲間と研究を重ねていると話す。「9路盤は9路盤で奥が深くて……正直、参ってます」(張八段)。
「Zen」開発者の加藤英樹さんは2人のコメントを聞き、「そこまで本気で向き合ってもらえてるのはうれしいやら戸惑うやら。……やっぱりやるなら、勝ちたいので」。コンピューター囲碁の強みは、無意識に選択肢を絞らないため人間にとっては予測しにくい手を打てること、対局を重ねても疲れないことなどを挙げ、「まだまだ相手にもならないとされてきたコンピューターが真剣にプロに向き合ってもらえるだけで凄いこと。残り時間でよりマシンパワーを上げて万全の状態で挑みたい」と意気込む。
山城副理事長は「将棋に続き、囲碁の魅力もニコニコユーザーにアピールしてきたい。囲碁界全体を盛り上げるきっかけにできれば」と話した。最後にコメントを求められた平田三段は「勝ちます」とだけキッパリ。決戦を間近に控え、闘志を見せた。
第1回囲碁電王戦 概要
1日目:2月11日
午前10時〜「第1回囲碁電王戦 9路盤三番勝負 張豊猷八段・平田智也三段vs Zen」
2日目:2月16日
午前9時〜「第1回囲碁電王戦13路盤・19路盤 江村棋弘アマ七段・小沢一郎政治家代表vs Zen」
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