「Angry Birds」を始めとする各種のスマートフォンアプリからはユーザーの個人情報が世界中のネットワークに垂れ流されているが、米英の情報機関はこうしたアプリからの情報収集に共同で取り組んでいる——。米New York Times(NYT)紙が1月27日、そう報じた。
この新事実は、米情報機関の元契約職員で現在は国外に逃亡中のエドワード・スノーデン氏が新たに暴露した機関文書によって明らかになったもの。
NYT紙によれば、米国家安全保障局(NSA)と英国の諜報機関である政府通信本部(GCHQ)は、最新の各種モバイルサービスを通じてネットワーク上にあふれ出てくる大量の個人情報を活用すべく、共同で取り組みを進めてきたという。
新たな諜報ツールとしては、ユーザーの位置情報や年齢、性別など、各種の個人情報を簡単に漏らしてくれるスマートフォン向けの各種アプリも活用された。
記事によれば、米英の情報機関はスマートフォンアプリからデータを収集して保存する方法をめぐり、2007年には手を組んでいたという。
それ以降、両機関はGoogle Mapsのユーザーから位置情報を収集する方法のほか、FacebookやFlickr、LinkedIn、Twitterといったサービスのモバイル版のユーザーから、アドレス帳や友だちリスト、通話履歴、投稿写真に組み込まれている位置情報などのデータを収集する方法を互いに提供し合ってきたという。
スノーデン氏は2013年にNSAによる電話とインターネットを対象とした大規模な盗聴活動を暴露したことで米当局からスパイ容疑で訴追され、現在はロシアに一時亡命中だ。
スノーデン氏の暴露により、政治家やプライバシー擁護派からの批判が高まったことを受けて、米バラク・オバマ大統領は1月17日、情報収集活動に関する改革案を発表した。改革案には、同盟国や友好国の指導者に対する盗聴を禁止すること、通話データの収集を制限することなどが盛り込まれている。
NYT紙によれば、スマートフォンからの情報収集の規模がどの程度かは定かでないが、機密文書によると、米英情報機関は、携帯電話向けに初期に登場したアプリも含め、いくつか特定のアプリから日常的に情報を入手していたという。
情報収集の対象となったユーザーの数や、米国民が含まれていたかについては、文書では明らかにされていない。
ホワイトハウスのジェイ・カーニー報道官によれば、米国の監視機関は「米国に対する脅威とみなされる人物」に関する情報収集にしか興味はないという。
同報道官はホワイトハウスの定例記者会見で、次のように述べている。「NSAがどのような手段で情報を収集するにせよ、われわれは外国諜報活動の正当な対象でない人たちの通信内容に興味はない。われわれは一般米国民の情報は追っていない」
「そのような監視行為はすべて、外国諜報活動の正当な対象に対してのみ行われている。つまり、テロリストや大量破壊兵器拡散関与者などの危険分子だ。そうした輩も一般人と同じコミュニケーションツールを使っている」(同報道官)
関連記事
- オバマ大統領、NSA改革案を発表 暗号解読については触れず
元CIA職員が暴露した米連邦政府による個人情報収集に関する懸念に対応するため、オバマ大統領が情報収集活動に関する改革案を発表した。電話通信記録の利用については制限されるが、国家安全保障目的の情報収集・保管は継続する。 - オバマ大統領、極秘情報収集プログラムについて説明──国民の安全とプライバシーはトレードオフ
米連邦政府のバラク・オバマ大統領は、Verizonの通話記録収集プログラムでは「通話の内容を聞いているわけではない」ことや、IT企業9社が参加するといわれる(PRISMと呼ばれる)極秘情報収集プログラムの対象は非米国民であり、いずれもテロ対策であることを説明した。
copyright (c) 2014 Thomson Reuters. All rights reserved.
(翻訳責任について)
この記事はThomson Reutersとの契約の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。記事内容に関するお問い合わせは、アイティメディアまでお願いいたします。
(著作権、商標について)
ロイター・コンテンツは、トムソン・ロイター又はその第三者コンテンツ・プロバイダーの知的財産です。トムソン・ロイターから書面による事前承認を得ることなく、ロイター・コンテンツをコピー、再出版、再配信すること(キャッシング、フレーミング、又はこれらと同等の手段による場合を含む)は明示的に禁止されています。トムソン・ロイターは、コンテンツの誤謬又は遅延、或いはコンテンツに依拠してなされたあらゆる行動に関し一切責任を負いません。 Reuters(ロイター)及びReuters(ロイター)のロゴは、トムソン・ロイター及びその関連会社の商標です。ロイターが提供するその他のメディア・サービスについてお知りになりたい場合は、http://about.reuters.com/media/をご参照ください。