任天堂の岩田聡社長は1月30日、経営方針説明会で、年内にスマートフォン/タブレットなどスマートデバイス向けアプリサービスを提供する計画を明らかにした。ただ、「マリオ」など既存タイトルのスマートフォン向け移植などは否定し、「『任天堂プラットフォームに参加していただくきっかけをつくる』という目的」と、アプリを通じてゲームの認知を高める形での活用を検討しているという。
任天堂は2014年3月期通期の連結最終損益が250億円の赤字に転落する見通し。据え置き機「Wii U」の販売が低迷し、当初900万台としていた販売見通しを3分の1以下の280万台へと大幅に下方修正したことが響く。
岩田社長は「ビデオゲーム専用機プラットフォームの未来を決して悲観しているわけではない」「『ハード・ソフト一体型のビデオゲーム専用機プラットフォームを経営の中核とすること』は今後も変わらない」「自社ハードを捨てて、他のプラットフォームに軸足を移すということも考えていない」と、プラットフォームを堅持する方針を示した。将来のために新ハードの研究開発も進めているという。
スマートデバイスについて、同社製ゲームの供給について要望が多いことは認識しつつ、「ハード・ソフト一体型のビジネスという任天堂の強みを活かせない場では、任天堂の目標とする規模のビジネスを中長期にわたって持続させることは困難ではないか」と否定。「お客様とのより強いつながりを作る」ためのツールとしての活用を打ち出した。
アプリ開発は社内の精鋭が取り組んでおり、年内に何らかのアプリサービスを公開するという。チームには「ゲームを作ることも、自社キャラクターを使うことも禁じてはいない」が、「これをもって『マリオをスマートデバイスに供給』と報道されると完全にミスリードになってしまう」という。
販売不振に陥っているWii Uについては「GamePadがあるからこそ実現できるソフトタイトルを提案することを、今年の最優先課題に置きたい」とし、内蔵NFCリーダー/ライターの活用や、初夏をめどにGamePadの高速起動メニューの実現、ニンテンドーDSソフトのバーチャルコンソールの提供──なども挙げた。また「マリオカート8」の発売を5月に決めた。
従来は携帯機と据え置き機でユーザーのつながりが分断されていたことを反省し、今後は「ニンテンドーネットワークID」でユーザーとのつながりを一元管理する方針に転換。「未成熟なところはあると思う」が、今後新ハードを発売する際は「普及台数を一から積み上げるという形ではなく、このNNIDを通じて一度できたお客様とのつながりをしっかりと維持していきたい」としている。
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