—— 2013年はHPにとってどのような1年でしたか。
小出 HP全社としてはCEOのメグ・ホイットマンによる経営再建の取り組みが大きく前進しました。売上、経費ともほぼ計画通りに達成され、特にキャッシュフローが健全化し、負債をほぼ解消できました。日本HPにとって最も大きな点は現場の社員の活躍です。当社の財務はドルベースになるため、為替の変動による影響を受けましたが、実績としてはほぼ計画を達成することができました。これはまさしく現場の社員ががんばってくれたということに尽きます。
その理由は、HPの社内に営業や技術、サポートといったあらゆる社員がOne Teamとなってお客様のビジネスに最優先で貢献しようという強い意志が育っているからだと思います。製品を提供するだけではなくお客様のビジネス課題を理解し、何をご提供すれば解決に向けて支援できるのかということをチームとして真剣に考え、ソリューションをご提供していく体制になりました。こうした日本での活動が認められて世界各国のHPに広がりを見せ始めています。
経営再建の取り組みはちょうど半ばに差し掛かっています。これまで課題の洗い出しと解決に向けた取り組みを進めてきたわけですが、負債を解消したことでキャッシュフローを生み出す体質になれたことが大きい。かつてのHPはどちらかといえばM&Aに傾倒していましたが、現在は自分たちで革新的なテクノロジーを生み出すための投資を大幅に強化しており、お客様のためのソリューション提供を通じてもっと貢献していきたいと考えています。今年は成長路線を加速し、マーケットのナンバーワンにチャレンジします。
—— IT市場におけるトレンドの変化も激しいですが、どのような点に注目していますか。
小出 HPでは「New Style of IT」というビジョンを提示しています。これはクラウド、ビッグデータ、クラウド、モビリティに着目した今後のITの方向性に対するビジョンですが、そのための開発を推進しているところです。HP中央研究所の調査では世界のパブリッククラウドのためにデータセンターが消費する電力の総量が日本の総電力を超えると推定しています。モビリティの進化やソーシャルの拡大、これらを支えるクラウドの普及が今後も進みます。結果としてこのまま世界のITの仕組みが変わらなければ、膨大な電力需要に対して破綻をきたすでしょう。そのためにも性能と省エネルギーに優れたソリューションを開発しなければなりません。
例えば、昨年春に発表した「HP Moonshot System」は、汎用性を重視してきたこれまでのサーバとは異なり、用途に最適化された高効率なサーバとすることで、消費電力やコストをほぼ10分の1にすることができました。ネットワークについても当社ではSDN(Software Defined Networking)においてインフラやコントロール、アプリケーションの各レイヤにおけるポートフォリオの拡張を進めました。クラウドも将来は必ずプライベート、パブリック、マネージドの3つの形態をハイブリッドに組み合わせていくようになるでしょう。HPではOpenStackを活用した標準化を強力に推進し、ベンダーロックインの無いクラウド環境を整備したいと考えています。
PCについては、薄型軽量ながら米軍調達基準を満たした耐久性の高いWindowsのビジネスタブレットを始めとして革新的な新製品を数多く提供しています。特にここ数カ月でみると、4月にサポートが終了するWindows XPの更新需要に伴うビジネスの急成長ぶりが注目されますね。当社としてはPCをリプレースするだけでなく、新しいOSやモビリティのような新たなスタイルとビジネスに貢献するソリューションなどの提案を積極的に行っています。プリンタ事業でも大型デジタル印刷機「HP Indigoシリーズ」ように業界のデジタル化と新たな創造に貢献できるソリューションへのご評価もいただいています。
—— 2014年の目標と挑戦をお聞かせください。
小出 2014年は「Ignite(点火)」をスローガンに、新しい市場を開拓していきたいと思います。2014年はクラウド、ビッグデータ、クラウド、モビリティを駆使していくという動きがもっと加速するでしょう。引き続きNew Style of ITの実現に向けて画期的な製品やソリューションを提供していきます。計画に対する取り組みを推進、増強しつつ、成長領域へのより投資していくことで着実に成長したいですね。
国内ではWindows XPに続いてWindow Server 2003のサポートが2015年に終了します。Window Server 2003のサーバ稼働台数は年間の出荷台数に相当する規模だといわれますので、PCサーバの更新需要で市場が活性化するのではないでしょうか。新たなサーバやクラウドへの移行などが検討されるお客様の課題に応えていきます。
最近のお客様との会話から、日本の実体経済が健康を取り戻しつつあるように感じています。市場も明るい兆しがみえています。当社もその勢いに乗ることができるようスタートダッシュを決めたいですね。
関連記事
関連リンク
Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.