著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。アイティメディアのONETOPIでは「ディズニー」や「博物館/美術館」などのキュレーターをこなしつつ、自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め日々試行錯誤中。
2013年はスマートフォンの普及が伸びた年でした。筆者もAndroidスマホとiPhoneを使い分けています。毎日、片時も手放せないといってもいいでしょう。
ところで先日、Twitterで「Googleアカウントを持っている人は、ログインした上で『Google Location History』と検索してみましょう(参照リンク)」という投稿を見つけたので試してみたら……、思わずうなってしまいました。
Androidスマホやタブレット端末を活用するには、Googleアカウントと関連付けることがほぼ必須の作業ともいえます。Google Location History(ロケーション履歴)をひとことで説明するならば「Android端末の移動履歴」といったところでしょうか。
スマホの移動履歴は基本的に人の動きと一致します。つまり、ほぼ毎日、自分がどのように行動をしているのかがここに記録されています。もしもAndroid端末をお持ちでしたら、ご自身のアカウントがどのように記録されているのかチェックしてみましょう。
最初の感想は「便利かも!」
このサービスを使って初めに浮かんだ感想は「便利だ!」でした。日記を書くことが苦手な筆者にとって、TwitterやFacebookに書き込むことが日記の代わりになっています。Google Location Historyのように足跡記録が自動的に残るのは面白いと思いました。
この記録はAndroid端末の位置情報をプロットしているようで、筆者がAndroid端末を購入した日以降の位置情報が記録されていました。GPSをオンにすることはほとんどなかったのに記録が残っているということは、Wi-Fiの位置情報を記録しているのでしょう。そのため、急に位置がジャンプしていたり、細かな記録は残っていませんが、それでもいつ、どこにいたのかを把握するには十分な情報です。
次の感想は「なぜこれがクラウドに?」
そんなふうに便利だと思ったのも数分程度。その次に浮かんだ感想はやっぱり「これは危険だ」です。
そもそも位置情報が記録されてうれしいのは自分(本人)だけです。他人がこれを見る可能性があると考えると、恐ろしくて仕方がありません。それに「こんなふうに使われると思っていなかった」ということも気持ち悪さと不信につながります。
Android端末で位置情報をオンにするとき、2つのオプションを設定します。1つは「GPS機能」の有効化、もう1つは「Wi-Fi/モバイル接続時の位置情報」の有効化です。後者をオンにすると、下記のような文言が表示されます。
この文言、具体的にGoogleにおいてどのような目的で使うのかよく分からないのが問題です。上記のGoogle Location Historyのように、かなりきれいに可視化されることが説明されていれば、不快感は少なかったでしょう。
個人的には、このような情報をクラウド上に保管するのではなく、端末内に保管し、強力なパスワードなどで保護されるのであればとても便利だと感じます。特に旅行などでは思い出のデータになるでしょう。
しかし、赤の他人に自分のGoogle Location Historyを見られると、確実に自宅の場所が把握されますし、日々の行動が丸裸になってしまいます。位置情報の蓄積は確かに便利なのですが、使い道次第ですね。
プライバシーへの配慮のないサービスはもういらない
これを読むと「だからGoogleは!」「Androidは危険!」という印象を持つかもしれません。しかし、同様の事件がiOSでも起きていました。iOS 4のころに位置情報を収集していたことが判明したことについて、アップルはFAQを公開しています(参照リンク)。
位置情報はプライバシーに直結する情報です。もし利用する場合はその利用手法が適切かどうか、利用者に対し説明することが必須だと思います。例えばアップルが提供するアプリ「友人を探す」などは位置情報をうまく利用しつつ、探す人にも探される人にも配慮した機能を搭載しています。
サービス提供側は、情報をどのように使っているのか、もっと分かりやすくアピールすべきだと思います。特に位置情報や行動データなど、個人が特定でき得る機微な情報であればなおさら。スマホが浸透したいま、こういったプライバシーへの配慮がより重要になるでしょう。
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