オフィスアプリケーションやメール、グループウェア、Web会議ツールなどを統合した日本マイクロソフトのクラウドサービス「Office 365」。今年2月に製品をリニューアルするとともに、よりいっそう営業活動やプロモーションを強化したことで、中小規模から大手まで幅広い企業への導入が進んでいるようだ。
米MicrosoftのOfficeマーケティング部門でバイスプレジデントを務めるジョン・ケース氏によると、日本では日経平均株価(日経225)銘柄企業の約60%がOffice 365を採用し、米国ではFortune 500のうち60%の企業がこの12カ月以内に導入したという。「今年7月時点でOffice 365の年間売り上げは1500億円に達する。現在、Microsoftがサポートする全世界の大手企業のうち4社に1社が活用する」とケース氏は説明する。例えば、日本では、ヤマハやパソナ、日本航空などの大企業が導入している。
特にこの1年は、Microsoftのあらゆる営業社員がOffice 365をはじめとするクラウドサービスを売ることを大きなミッションに掲げていたり、パートナー各社のクラウド拡販に対する奨励策を打ち出したりと、同社の主力ビジネスがクラウドにシフトしていたという。
日本企業が導入する理由
そうした中で、日本企業がOffice 365を採用する理由は大きく4つ挙げられるという。1つ目は、テレワークを検討する企業が増えており、ワークスタイルを変革するため。2つ目は、海外展開をする企業が拠点共通のシステム基盤としてクラウドを導入したいため。3つ目はBCP対策のため。最後は、オペレーティングシステム「Microsoft XP」およびオフィス製品「Microsoft Office 2003」が2014年4月にサポート終了となるためだ。
また、中小企業と大企業とでは採用の決め手が異なるそうだ。中小企業は、これまでエンタープライズ向けツールは高価すぎて手が届かなかったため、例えば、グループウェアおよびメール製品「Microsoft Exchange Server」やコラボレーション製品「Microsoft SharePoint」などをオンプレミスで導入することが難しかったという。
「Office 365にはこれらの製品機能が含まれており、従量課金で利用できる。加えて、頻繁にサービス機能はアップデートされるため、中小企業でも最新のテクノロジーを活用できるのが大きなメリットといえるだろう」(ケース氏)
大企業においては、事業のグローバル化に伴いクラウドを導入するケースが増えているという。
対Google Apps
ところで、競合製品と比較されることの多い米Googleのクラウドサービス「Google Apps」に対してOffice 365の優位性とは何か。
「Google Appsはコンシューマー向けサービスとしては優れているかもしれないが、Microsoftは長年にわたりエンタープライズビジネスを展開してきた経験がある。企業向けサービス、とりわけ大企業に対しては一歩先を行っているという自負がある。また、Office 365はオンプレミスとクラウドのハイブリッドなシステム環境で利用できるのも強みといえよう」(ケース氏)
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