Windows 8.1、「スタートボタン(のようなもの)が復活」
米Microsoftが2013年6月末「BUILD 2013」で公開予定とする次期主力OSの名称が「Windows 8.1(開発コード名:Blue)」だと発表したのは先日リポートした通りだが、同社は5月30日(米国時間)、Windows 8.1に関するさらなる概要を公式ブログで公開した。
全体にカスタマイズ性や標準アプリの機能強化が行われ、BingやSkyDriveなどクラウドサービスとのさらなる連携が前面に押し出される感じだ。早速要約していこう。
スタート画面とロック画面のカスタマイズ幅が拡大
まずはスタート画面のカスタマイズ幅拡大。Windows 8は、1つの画像を指定してロック画面の背景にできたほか、複数あるフレームとカラーバリエーションを選択するなどにてスタート画面をカスタマイズできた。
Windows 8.1は、スタート画面で選択できるフレームのバリエーションがさらに増え、ロック画面に表示する画像をアルバム(フォルダ)ごと指定してスライド方式で切り替えられるようになる。タブレット型のデバイスであれば、ちょうどフォトフレーム的な使い方が可能になるイメージだ。スライド表示させる画像はローカルフォルダはもちろん、SkyDrive上の画像も指定できる。
また従来のスタート画面は模様が描かれた既成のフレームのみが背景として選択できたが、Windows 8.1では従来のデスクトップ画面と同様に、写真など好きな画像を壁紙として配置できるようになる。タイルのサイズもこれまでの標準/横長の2種類に加え、さらに小さいタイルや4倍サイズのものまでサイズを可変できる。タイルのサイズ拡大縮小や移動などの場面においては、複数タイルを同時に選択し、同時に同じ操作を加えることもできるようだ。
このほか、名称やインストール日時、使用頻度、カテゴリなどでアプリ一覧をフィルタリングして抽出する機能も備わり、必ずしもスタート画面に利用するアプリを全表示させる必要はなくなった。「スタート画面がアプリアイコンの羅列で埋まっている……。探すのに苦労する……」といった不便などもなくなり、スタート画面はより幅広くカスタマイズできるようになる。
クラウド連携をさらに強化
Windows 8の特徴の1つに、従来バージョンと比べて既存のクラウドサービスとの統合を進めたソフトウェア&サービス的な製品である側面があるが、Windows 8.1はそれがさらに進んだ印象を受ける。
例えば従来の「検索チャーム(Charm)」は、入力したキーワードに対して検索対象(Web、アプリ、ファイルなど)をタブで切り替える方式を採用していたが、Windows 8.1はBingを組み合わせて「アグリゲート検索」と呼ぶ検索表示画面を選択できるようになる。入力ワードに対してWeb、アプリ、ファイル、SkyDriveなどそれぞれの項目から最適だと思われるものを自動判別し、まとめて一覧表示するもの。プレビュー版などに触れてみるまで実際の使い勝手はどうか分からないが、クラウド連携をさらに強化した施策の一環であることはそれとなく理解できる。
なお、Windowsエクスプローラから直接SkyDriveにもアクセスできる。ファイルの参照や保存はもちろん、個々のアプリからも透過的に──というものだ。Microsoftアカウントを介して作業環境が保存されるようにもなっており、普段とは別のWindows 8.1機器であっても、同一アカウントでログインした時点で自身のカスタマイズ/設定環境が再現される。
標準アプリと基本機能の強化、スタートボタン復活の真相は?
Windows 8で設定の変更を行う場合、スタート画面のカスタマイズなどユーザーインタフェースに関する変更は設定チャームから呼び出す「スタート画面のPC設定」で、その他細かい機能の設定はデスクトップUIの「コントロールパネル」をそれぞれ選択する必要があった。設定項目が2つに分かれていたわけだ。Windows 8.1は「PC設定」のメニューそのものが見直され、コントロールパネルへ移動せずとも各種設定が可能になる。その他の標準アプリの数々も改良が加えられており、例えば「写真」アプリにおいては簡単な画像編集機能も追加される。
機能面の強化で特徴的なのは「50:50」の画面分割機能だ。スタート画面/Modern UIでは、フロントエンドで同時に動作可能なアプリは1つ、それ以外のアプリは「スナップビュー」と呼ぶ縦長の縮小画面で、画面左右のいずれかに1つだけ追加配置が可能だった。
これはアプリ(およびハードウェア)の最低画面解像度が規定されている(1024×768ドット)ことに由来するものだが、Windows 8.1はこの制限が取り払われる。これにより、2つのアプリを1つの画面で半々、同時に表示させられるようになる。Microsoftによれば、マルチディスプレイ環境では最大3つのアプリを同時に表示できるとのこと。「フルスクリーン表示しかなく、使い方が限定される」と評価する人も多いであろうModern UI版アプリも、こういった変更により活用シーンはもう少し広がると思われる。
このほか詳細は不明だが、改良された「Windowsストア」と、Webブラウザの新バージョンである「Internet Explorer 11」についても言及された。Windowsストアについては情報の網羅性を重視したデザイン変更を行う予定とし、IE11はパフォーマンス向上のほか、「複数の機器での(クラウドサービスを介した)タブ共有」が新たな機能として搭載される。
スタートボタンが復活 「スタートチップ(Start Tip)」と呼ぶ機能
最後に、上の画面で気が付いた人もいるだろうが、「スタートボタン」のようなものが復活する。
マウスカーソルを画面左下端に寄せると過去に開いたアプリの一覧が表示されるが、その際に「スタートチップ(Start Tip)」と呼ぶWindowsロゴが出現する。「Tip」とは先端とか突起を意味する単語だが、このスタートチップをとっかかりに、次の操作メニューを呼び出せるようになる。
具体的には、スタート画面に戻ったり、あるいはスタート画面ではなく「Apps View」と呼ぶアプリ全一覧画面へと遷移したりと、従来のスタートメニューを補完する機能メニューが追加される。
以上がこのたび公開されたWindows 8.1の新機能/変更機能の一部だ。
2013年6月には米ルイジアナ州ニューオーリンズで「TechEd North America」が開催される予定であり、ここでWindows 8.1の最初の一般プレビュー情報が公開される予定だ。その他概要についても順次同社の公式ブログ上で公開していく計画という。
そして、2013年6月末のBUILD 2013で「Windows 8.1の最初のプレビュー版が配布される」とみられる。本連載でも、今後1カ月かけてこれら情報を順に整理・紹介していく予定だ。
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