2013年はスマートフォン、タブレット関連のニュースが本当に多くて、取材に走り回っているうちに、あっという間に1年が過ぎ去ってしまった。中でも特に印象に残っているのは、やはり携帯電話市場を牽引してきた2大メーカーの撤退と、NTTドコモのツートップからのiPhone発売。そして、SIMフリースマホ&MVNOの普及だ。
「やっぱり」と受け入れられた、2大メーカーのスマホ撤退
個人的にはとても驚いたのだけれど、業界的には「やっぱり……」と、案外すんなりと受け入れられてしまった感もある、NECカシオモバイルコミュニケーションズと、パナソニックモバイルコミュニケーションズのスマートフォン撤退。ケータイからスマートフォンへシフトするタイミングが遅れたことなど、要因はいろいろあるのだろうが、最終的に背中を押したのはやはり、今夏ドコモが打ち出した「ツートップ戦略」ではなかったかと思う。
ドコモとしてもユーザーの流出が続く中で苦渋の選択だったのだろうが、NEC、パナソニックといえば、長く携帯電話市場を牽引してきた2大メーカー。直前にリリースされたスマートフォンも、ケータイから買い替えるユーザーの利便性を考え抜いた意欲的なものだっただけに、本当に残念でならない。シャープの「Mebius」が、Windows 8タブレットで「Mebius Pad」として復活したように、いつの日か「MEDIAS」や「ELUGA」がまた違ったカタチで再登場することを願うばかりだ。
夏モデルなのに非防水で、大きく負け越した「GALAXY S4」
ドコモが今夏のツートップとして掲げたのは、「Xperia A」と「GALAXY S4」だった。前者は「Xperia Z」の流れをくみつつも、持ちやすいサイズ感&デザインを採用したモデル、後者はグローバル展開されている大画面フラッグシップモデルだ。筆者はフルHD有機ELディスプレイの美しさに一目ぼれして後者を選んだのだが、夏商戦を制したのは前者の「Xperia A」だった。価格がより手頃だったということもあるだろうが、「GALAXY S4」が夏モデルながら非防水だったことも、理由の1つだったように思える。
サムスン電子は日本専用として開発した秋冬モデルの「GALAXY J」にも、防水性能を搭載しなかった。その一方で海外ではすでに、防水対応の「Galaxy S4 Active」が発売されている。来年はぜひ日本にも防水モデルを投入してほしいところだ。
また「Xperia」シリーズは2013年、「Xperia Z」から「Xperia A」、秋冬モデルでは「Xperia Z1」「Xperia Z1 f」と、ハイエンドモデルとその流れをくむコンパクトモデルを、バランス良くラインアップしていたのが印象的だった。全モデルに共通のデザインコンセプトを用いたことも、ブランド力を高めることにつながったのではないか。iPhoneの対抗馬としては、今年最も目立った存在だったように思う。
待ってた人は多かったけど、ちょっと遅かった? ドコモ版iPhone
ツートップ戦略を経て、9月にはドコモからついに「iPhone 5s/5c」が発売された。これは間違いなく2013年の1、2を争うビッグなニュースだろう。筆者の周囲にもドコモ版iPhoneを心待ちにしていた人が本当に多く、20日の発売日は文字通りのお祭り騒ぎだった。SPモードメールの対応が約1カ月遅れるなど、いろいろ間に合っていなかったところをみると、ドコモのバックヤードではさらに、大変な騒ぎだったのだろうと想像がつく。
その甲斐もあって、10月、11月はMNPの純増減数でプラスに転じたドコモだが、かといって今もユーザーの流出が止まったわけではない。“たら、れば”の話をしても仕方がないが、もしエリア、速度とも、LTEでは「Xi」がぶっちぎりだった1年と少し前に、ドコモが「iPhone 5」を発売していたら状況はどうなっていただろう……と想像せずにはいられない。
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