スマートフォンのスペック競争が落ち着き、成熟を迎えた2013年は、端末(モノ)よりもトピックス(コト)の方が印象に残った1年だった。海外メーカーの端末が日本でも数多く扱われるようになり、日本だけでなく、海外の動きも積極的に知る必要があると遅ればせながら気付かされ、年明け早々、ラスベガスで行われたInternational CES、2月末にバルセロナで行われたMWC(Mobile World Congress)に取材に出向いた。そのとき感じた動きが、日本でも確かに起こったのだな、と感じた1年だった。
スタイリッシュなウェアラブル端末が続々登場
CESで大量に展示されていたのが、Bluetoothでスマートフォンとつながる健康系端末だ。日本でも、NIKEの「NIKE+ FUELBAND SE」「Fitbit Flex」「JAWBONE UP」などの活動量計が続々発売され、一定の流行を見せている。日本製の活動量計にはなかったスタイリッシュなデザインが素敵で、日本メーカーもがんばってもらいたいところ。ソフトバンクモバイルがいち早くFitbitを使ってサービスを開始し、ドコモは日本製の「ムーヴバンド」を発売(2013年12月20日時点では発売延期中)。私自身はこれまでFitbit OneとZipを使わせてもらっているが、最近はただ着けているだけで、データを気にすることがなくなり危険な状態だ。サービスがどこまで浸透していくか、(私自身)どうやって飽きずに続けさせるか、集めたデータをどう活用するかなど、今後も注目していきたい。
また、これら健康系端末が含まれるウェアラブル端末というカテゴリーでは、Googleの「Google Glass」が幅広いメディアで取り上げられ、「GALAXY Gear」やソニーモバイルコミュニケーションズの「SmartWatch 2 SW2」といった腕時計型端末も話題になった。まだ改善されるべき要素は多いようだが、今後もさまざまなウェアラブル端末が登場するのだろう。個人的には“スマートフォンの次”を担うというより、寄り添って広まっていくのだろうと感じている。
なお、CESやMWCではQualcommの存在感の大きさを改めて感じる一方で、日本メーカーの健闘も印象に残った。ソニーとXperiaの存在感、スタイリッシュさは誰もが認めたと思うし、残念ながらスマートフォン事業から撤退してしまったが、NECカシオモバイルコミュニケーションズの2画面端末「MEDIAS W N-05E」はMWCで非常に注目を浴びた端末だった。ぜひタブレットでの反撃を期待したい。また、京セラが米国で堅実にビジネスを行い、しっかり受け入れられていることはうれしい驚きだった。同様に富士通の「らくらくスマートフォン」がフランスで発売されたことも、やはり日本人としてうれしく感じる。今後も引き続き海外の動きには注目しなくてはいけないと感じており、来年早々のCESとMWCには取材に出向く予定だ。スマートフォンは少し停滞気味だと思っているので、何かしら新しい流れを感じられればと期待している。
「ARROWS」はここから生まれ変わった
SIMフリーiPhoneやLGエレクトロニクス製の「Nexus 5」など、ここにきて興味深い端末が登場したが、2013年、個人的に思い出深いスマートフォンはドコモの夏モデル「ARROWS NX F-06E」だ。5.2インチの大画面と3020mAhの大容量バッテリー、Qualcommの定評あるクアッドコアCPUを採用し、安定感が大幅に増した端末だ。これまでのARROWSシリーズは、ハイスペックながらも実際に使ったユーザーからは決して高い評価を得ていたわけではなかったので、メーカーの担当者からの熱い説明を直接聞いた私自身でも、購入して使い始めた頃は恐る恐るという感じだった。
ただ、すぐに不安は払しょくされた。F-06Eは、ごく普通に使えるハイスペックなスマートフォンだ。仕事上、1台の端末をそう長く使うことはできないが、今でも持ち歩き、メールの確認やSNS、おサイフケータイやテザリング、さらには電子辞書機能を活用している。特に大容量バッテリーなので安心してテザリングできる点が気に入っている。正直、タッチパネルのレスポンスは冬モデルのARROWSの方が滑らかで使いやすくなっているので、ベターな端末を選ぶとなれば冬モデルの「ARROWS NX F-01F」になるのだが、F-06Eは、ここから生まれ変わったARROWS、ということで、2013年の注目端末として記憶に残しておきたい。
新しさを感じた3辺狭額縁の「AQUOS PHONE」
最近は登場する端末が、どれも5インチの大画面で高精細なフルHDを楽しめるほか、クアッドコアCPUで快適操作を実現し、どれを買っても問題ないですよ、といえる端末に仕上がっていると思う。スマートフォンはハイレベルで安定し、私自身は面白さや驚きを感じにくくなっているのだが、今年、思わず「おっ」と声が漏れた唯一の端末が、3辺狭額縁の「AQUOS PHONE Xx 302SH」だ。
ひと目みてわかる通り、フロント全面がディスプレイかと思うほどの狭額縁。手に持つと意外なほど小型で、ディスプレイの大きさがより強く印象に残る。今年は海外で曲面ディスプレイを使った端末も登場しているが、それよりもずっと未来感が表現されていると思う。さすが“液晶のシャープ”が作った端末だ。
また、英語をリアルタイムで翻訳する「翻訳ファインダー」も面白い。ただ、英語は単語だけならそこそこ分かるので、個人的には、文字を見てもまったく分からない韓国語、スペイン語の対応をお願いしたい。特にスペイン語は2月のMWCで早速活躍すると思うのだが……。
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